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無効になった彼方へ

市街戦か紫外線か、選べ、と言われる

それぞれで僕が受けるであろう影響を駅のホームで考える

死因としては(ああ静かな場面だ)

市街戦なら流れ弾、紫外線なら皮膚癌

格好としては(あの鳥が鳴きながら滑り降りてゆく)

市街戦ならカーキのジャケット、紫外線なら海水パンツ

運命としては(豪華な料理に賞賛の声が上がり、レストランの床が抜ける)

市街戦なら捕虜、紫外線なら疲労

つまり僕は流れ弾の皮膚癌を避けるがために

海水パンツの上にカーキのジャケットをはおったというのに

疲労した捕虜として広場から波打ち際まで連行されて

目隠しをさせられそうになり、僕はそれを断り

それにしても喉が渇いた、末期の水をくれ、ああだめなのか

それでも握らされた、後ろ手に縛られた手のひらの上に飴玉を

どうやって口まで運べばいいのかを目玉を動かして考え

おお、マリア様、あまりに暑いので

いみじくも雲はみるみる厚くなり

惜しくも雨さ、でももうだめさ、僕はそっと手を開いたけど

べとついた飴は手のひらにくっついたままなのさ

ああ、アメージン・グレース

ハウ・スィート・ザ・サウンド

なんて甘い響きなんだ、僕らみんな仲良くびしょ濡れで

兵隊たちは屋根を求めて走り去っていったというわけ

置いてけぼりで知ったかぶりの僕は

後ろ手に縛られたまま砂浜を、ロデオのピエロが芝生の上で踊るように

土砂降りの中、砂浜を早歩きで帰っていったというわけ

紫外線は消えた 雨はそれからずっと降り続いているから

市街戦は終わった 部隊は舞台を隣町に移したから

そして僕は今でも窪んだままの傷を

犬に無為にぺろぺろと舐めさせている

そこから生えてくるのは角か尻尾か

勝つのか負けるのか、カマキリよ

蜘蛛よ、蠅よ、返事をしろよ

僕は、頭の上の蠅を追うべきなのか、それとも

落石を防ぐための帽子を被るべきなのか

今でも分からずにいる

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