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日々の肉に

血の味がする、あいつが言うわけさ

やつは自分が住んでいる十階の部屋から

夜中に階段の手すりを叩きながら

上ったり下りたりするのが趣味なんだよ

そりゃあやつの手のひらは鉄錆くさいだろうよ

血の味がするというけれど

あいつが持ってきた肉まん、冷えて堅くなって縮んだそれは

むしろ皮の甘い味が目立っている安物だ

血の味はお前の汚い手のせいだ、と大声でなじると

一緒にぐちゃっとした肉まんの食いかけが口から飛び出た

三人は黙って素早く一歩下がってから

また元の姿勢の戻る

まるで背中のかゆいところを

また元に戻る

そんな

十階の自分の部屋から夜中に叩いてまわるという趣味がある男だから、俺たちはきっとやつの両手の味がふとした調子で口に入ったんだろうと相手にしなかった

それにしても寒い夜だ

あいつがが持ってきた肉まん、冷えて堅くなったそれのまずいことまずいこと。

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