数え始めたのが 少し遅かったかも知れない
それでもまだ朝だったし 風も冷たかったし
何よりも動物たちはまだ
眠っているばかりだった
靴が濡れて 煙草も湿って
欠伸ばかりしていた
動物たちの姿は見えない
彼らがどういう動物なのか
体温があって 四つん這いで
草か それともお互いどうしを
探し続け 食べ続けては
眠っている もし眠れるならば
私も数に入って 行列に並び
そのまま私は 私を数えていった
名前も呼ばずに 名前も呼ばれずに
何も覚えずに 何もかも忘れずに
私が上手に数を数えている姿が
待合室のテレビに写っている
笑っている私 手を振っている私
まだ痩せていた私を覚えていない私
土を掘り 体を丸める私が
毛布をかけてくれと
身振りで伝えているのに
私の声は遠い彼方で震えていて
それを聞いた見知らぬ動物たちだけが
咳をして応えている
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