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バスに乗るために

  • 執筆者の写真: Hiroshe Haseba
    Hiroshe Haseba
  • 2018年11月8日
  • 読了時間: 1分

バスに乗るために小銭を集めるために瓶を割る

瓶を割るために石を拾うために河へ向かう

ずいぶんと遠い河に向かうために

そこまで歩いてゆくために

靴を新調する

靴を新調するために小銭を集めるために地面を眺める

地面を眺めるために眼鏡をかけるために耳を探す

いつのまにか消えてしまった耳を探すために

どこで落としたか思い出すために

雨に打たれる

今までどこにいっていたの、と聞かれる

手紙ぐらい書けなかったの、と問い詰められる

どこにいっていたのかわからないから

手紙など書きようがなかった

目をふさがれ

両手を縛られていた、と答える

まだ間に合う

最後のバス

小銭も持たずに家を追い出されて

途方にくれて歩き出す

バスに乗るために 乗らなかったために

乗れなかったために 歩き出す

また遠く離れてしまうのだ

毎日のことではあるのだが

それでもとても疲れることだ

 
 
 

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