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水たまり

  • 執筆者の写真: Hiroshe Haseba
    Hiroshe Haseba
  • 2018年10月14日
  • 読了時間: 1分


さあ俺たちはここが気に入ったから

しばらくこのまま暮らすことにするよ

俺たち腹が減っていても

靴や毛布など食べないし

書くべきハンカチも読むべきトタンも

燃やす前に捨ててしまったし

ああ俺たちはこの場所が好きだ

何も見えないほどの夜が好きだ

缶詰なら何でも大好物だ

ああ俺たちは何も知らない

とどのつまりが旅の始まり

俺たちお前たちがいくら泣いていても

髭も宴も毎日のことだし

撫でさする毛皮も濡れそぼるマントも

忘れないように土に埋めてしまった

ああ俺たちはこの場所が好きだ

誰も触れないほどの夜が好きだ

レンガと石つぶてならご馳走だ

どこへ行くと聞かれた時に

どこまで行くと答えたのか

よく聞こえない遠い電話だったと答えてから

声がつぶれて湿っていたと添える

彼方まじりの訴えだったと加える

虹だ 何度となく

数えきれないほどの虹だ

雨も降らずに 虹だ

ああなんて丸いんだろう

口を大きく開けたまま走る

転ぶ前に次の足を水たまりへ

 
 
 

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