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白ワイン

  • 執筆者の写真: Hiroshe Haseba
    Hiroshe Haseba
  • 2018年11月13日
  • 読了時間: 1分

この村の掟だから従うしかない

女たちは自慢の長い髪を刈られ

男たちは重い足輪を鎖に繋がれ

子供たちは歌と靴を燃やされた

年寄りたちは食事を減らされた

そして今日が最後

今朝私の部屋にもノックの音

さあようやくお前らの番だよ

準備なんているものか起きろ

この書類に書かれているだろ

眼鏡踏まれ割れ

さあもう読めないようだな

どうせいつかはこうなるさ

お前の利き手を早く教えろ

お前の恋人は今どこにいる

私は呻き泣く

どうしようもないことだ

覚えもないし聞こえない

背中を踏まれ息もできず

涙と鼻水が床に溜まって

どこに誰が

窓ガラス割れ壁破られ

描いた絵と写真燃えて

笑い声と唾を吐く音と

あとはすべて燃える音

いつかは

逃げられるのだろうか

生き延びられるのなら

どんなことでもしよう

いっそ土に埋めてくれ

こんな

村でできた白ワイン

よく冷えた上等な味

辛口で魚料理に合う

あなたは目を閉じて

飲む

 
 
 

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