四人の男が、コンクリートの河の浅瀬を横並びで歩きながら、河を流す仕事をしている。今日一日だけの単発の日雇い仕事だ。まだ仕事を始めたばかりの男たちは、まだ午前中の早い時間なのに、もうすでに暗い顔をしている。曇り空のせいかもしれない。これから歩かなくてはならない長い距離を考えているせいかもしれない。ああ神様、と英語でE。え、何だって、少し耳の遠いWは必ず聞きかえす。Sは後ろを振り向き、そのたびにため息をつく。そしてNはみんなより少し先を早足で歩いてゆく。早く歩けば、それだけ早くたどりつけるはずだ。Nはそう信じている。だから、男たちが作る横並びの列、その不恰好なVの字の尖った先頭を保ちながら歩くのはいつもNの役目だ。長い距離を歩く男たちは口数少なく、それでも静かに、誰にも聞こえないように、話し続ける。
河は右へと、大きな円を描きながら流れている。山から海へと、高い場所から低い場所へと流れていくのではなく、まるでドーナッツのように街を取り囲んで流れ続ける。なぜその河が流れ続けるのか、誰も気にしたりはしない。そういうものなのだ、とぼんやりと河の流れを眺めながら、街の人々は穏やかな日々を過ごしている。
四人の男が、コンクリートの河の浅瀬を横並びで歩きながら、河を流す仕事をしている。河は右へと、大きな円を描きながら流れている。
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