top of page
検索

再水

再び、水が

床に、満ち

俺の、足が

臭う、朝だ

やあ、小鳥

よお、小蠅

特に、無い

思う、物は

忘れ、眠り

濡れ、溶け

消え、届け

思う、前に

飛び、落ち

黒い、鳥が

商売に出かける時間だ

スープの匂い

得体の知れない赤茶の煮くずれた豆

風はぬるく空は青暗く

唄と名前と時間と

どれを思い出す

ポケットを探れば

くしゃくしゃのティッシュと

折れた爪楊枝と

電話番号のメモ

番号など 数字などもうないのに

スープを作り待っていた

女が最後にひとりで食べた

その残りを朝に温めている男が

またドアを開け出てゆく時間だ

商売の時間だ

赤茶の豆を売りに出かける時間だ

再び、水が

引き、乾き、待ち

最新記事

すべて表示

無効になった彼方へ

市街戦か紫外線か、選べ、と言われる それぞれで僕が受けるであろう影響を駅のホームで考える 死因としては(ああ静かな場面だ) 市街戦なら流れ弾、紫外線なら皮膚癌 格好としては(あの鳥が鳴きながら滑り降りてゆく) 市街戦ならカーキのジャケット、紫外線なら海水パンツ...

日々の肉に

血の味がする、あいつが言うわけさ やつは自分が住んでいる十階の部屋から 夜中に階段の手すりを叩きながら 上ったり下りたりするのが趣味なんだよ そりゃあやつの手のひらは鉄錆くさいだろうよ 血の味がするというけれど あいつが持ってきた肉まん、冷えて堅くなって縮んだそれは...

Comments


WRITINGS & NEWS 

bottom of page